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フェンシクリジン使用障害

フェンシクリジン使用障害

Phencyclidine Use Disorder

 

疾患の具体例

22歳、男性。長期にわたってフェンシクリジンを使用し、幻覚や幻視、うつ状態に苦しみました。アルバイトを無断欠勤して失業し、家族との関係も悪くなってしまいました。使用をやめようと思っても、フェンシクリジンを渇望する気持ちが抑えられず、繰り返し、使用しています。

 

特 徴

フェンシクリジン(フェンサイクリジン Phencyclidine;PCP)は、「麻薬及び向精神薬取締法」で麻薬に指定されている物質です。エンジェルダストと呼ばれることもあります。1950年代にアメリカで麻酔薬として開発されましたが、麻酔から覚醒する際に妄想や興奮などの副作用が生じることがわかり、1960年代には人への使用が禁止されました。しかし、密売ルートなどで入手し、幻覚薬として使用する人がいます。フェンシクリジン使用障害は、フェンシクリジンを常習的に使用し、自分の意思ではやめることができない障害です。

 

フェンシクリジンは、少し使っただけなら精神や身体からフワーっと分離した感覚(解離症状)が現れます。しかし、大量に使用したり、継続して使用すると意識がもうろうとし、こん睡状態に至ることがあります。痛みを感じなくなる(痛覚脱失)、眼振、低血圧、高血圧、および統合失調症に似た症状が現れる人もいます。慢性的なフェンシクリジンの使用により、記憶、会話、認知に障害が生じることもあり、それらは数ヵ月にわたって続くかもしれません。時には社交的、多弁になりますが、敵対的、否定的になって自傷他傷の危険を伴う場合もあります。

 

フェンシクリジン使用障害の人は、これらの症状の結果、仕事や家庭、人間関係などに大きな問題が生じても、フェンシクリジンを得ようとします。

 

有病率

フェンシクリジン使用障害の有病率はわかっていません。しかし、人口の約2.5%がフェンシクリジンを使用した経験を持つというデータがあります。また、フェンシクリジンの問題で救急を受診した人の約3/4が男性です。

 

経 過

フェンシクリジンを摂取して初期の精神刺激作用が得られる時間は数時間ですが、身体から完全に排出されるには8日間もかかります。使用量やその人の耐性によっては、数週間にわたって作用が続くかもしれません。

 

原 因

フェンシクリジン使用障害の危険要因については、ほとんど情報がありません。物質乱用の治療のために入院した人のうち、フェンシクリジンが主な乱用薬物だった人は、若年で教育水準が低い傾向があるようです。

 

診断基準:DSM-5

A. フェンシクリジン(または薬理学的に同様の物質)の使用様式で、臨床的に意味のある障害や苦痛が生じ、以下のうち少なくとも2つが、12カ月以内に起こることにより示される。

  1. フェンシクリジンを意図していたよりもしばしば大量に、または長期間にわたって使用する。
  2. フェンシクリジンの使用を減量または制限することに対する、持続的な欲求または努力の不成功がある。
  3. フェンシクリジンを得るために必要な活動、その使用、またはその作用から回復するのに多くの時間が費やされる。
  4. 渇望、つまりフェンシクリジン使用への強い欲求、または衝動
  5. フェンシクリジンの反復的な使用の結果、職場、学校、または家庭における重要な役割の責任を果たすことができなくなる(例:フェンシクリジン使用に関連して仕事をたびたび休む、または仕事の能率が不良;フェンシクリジンに関連した学校の欠席、停学、または退学;育児または家事のネグレクト)
  6. フェンシクリジンの作用により、持続的、または反復的に社会的、対人的問題が起こり、悪化しているにもかかわらず、その使用を続ける(例:中毒の結果についての配偶者との口論、身体的喧嘩)
  7. フェンシクリジンの使用のために、重要な社会的、職業的、または娯楽的活動を放棄、または縮小している。
  8. 身体的に危険な状況においてもフェンシクリジンの使用を反復する(例:フェンシクリジンによる機能不全中の自動車運転や機械の操作)
  9. 身体的または精神的問題が、持続的または反復的に起こり、悪化しているらしいと知っているにもかかわらず、フェンシクリジンの使用を続ける。
  10. 耐性、以下のいずれかによって定義されるもの:
    (a)中毒または期待する効果に達するために、著しく増大した量のフェンシクリジンが必要
    (b)同じ量のフェンシクリジンの持続使用で効果が著しく減弱

 

注:離脱症状や徴候についてはフェンシクリジンでは確立されていないため、この基準は適用されない(フェンシクリジン離脱は動物では報告されているが、人間の使用者には報告されていない)

 

該当すれば特定せよ

寛解早期:フェンシクリジン使用障害の基準を過去に完全に満たした後に、少なくとも3カ月以上12カ月未満の間、フェンシクリジン使用障害の基準のいずれも満たしたことがない(例外として、基準A4の「渇望、つまりフェンシクリジンへの強い欲求、または衝動」は満たしてもよい)。

 

寛解持続:フェンシクリジン使用障害の基準を過去に完全に満たした後に、12カ月以上の間、フェンシクリジン使用障害の基準のいずれも満たしたことがない(例外として、基準A4の「渇望、つまりフェンシクリジンへの強い欲求、または衝動」は満たしてもよい)。

 

※参考文献

『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』(医学書院)

『カプラン 臨床精神医学テキスト 日本語版第3版』(メディカルサイエンスインターナショナル)

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