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アルコール中毒

アルコール中毒

Alcohol Intoxication

 

疾患の具体例

22歳、男性。大学のコンパで泥酔状態になるまで飲酒していました。朝方、コンパが解散になっても路上に倒れ込み、呼びかけに応えません。意識がもうろうとしており、失禁もしています。友人等が救急車を呼び、救急搬送されました。これまで大きな病気をしたことはなく、慢性疾患も持っていません。

 

特 徴

アルコール中毒は、アルコールを摂取してから間もなく、不適切な(性的または攻撃的)な行動をとったり、気分が不安定になったり、判断力が低下したりすることなどが基本的特徴です。ほかに、ろれつの回らない話し方、不安定な歩き方などが生じます。いわゆる“酔っ払い”の状態ですが、重度の場合は生命を脅かすような昏睡が生じ得ます。アルコール中毒が習慣のようになるのが早いほど、アルコール使用障害に進展する可能性が高くなります。

 

軽度のアルコール中毒は、大部分の人で約2ドリンクの飲酒後に生じます(1ドリンクあたり、約10〜12gのエタノールを含む場合)。飲酒後すぐにアルコール濃度が上昇し、多弁で高揚した気分になることがしばしばあります。しかし、飲酒を始めてしばらくたち、血中アルコール濃度が下がってくると、だんだん抑うつ的、内向的な気分になることがあります。血中アルコール濃度が非常に高くなると(例:200〜300mg/dl)、人によっては眠り込んでしまいます。それ以上に血中アルコール濃度が高まると(例:300〜400mg/dl)、心拍と呼吸が抑制され、死亡することさえあり得ます。

 

なお、アルコール中毒は、アルコールを摂っている最中の記憶をなくす「ブラックアウト」が生じることもあります。アルコール中毒が原因となって、学業や仕事で損失が生じたり、対人関係でトラブルを起こしたりすることもあります。自殺行動の重要なリスク要因であることもわかっています。

 

有病率

飲酒をする人の多くは、ある程度のアルコール中毒を経験しているようです。アメリカ精神医学会の診断と統計マニュアル『DSM-5』によると、2010年のある調査で高校3年生の44%が「酒に酔ったことが最近1年以内」あると認め、大学生の70%以上が同様のことを認めています。アメリカでは、初めてアルコール中毒になった平均年齢は約15歳で、最も高い有病率の年齢は約18〜25歳です。

 

経 過

アルコール中毒は数分〜数時間の間に進行し、典型的には数時間続きます。

 

原 因

気質要因:

アルコール中毒は、刺激追求性や衝動性のパーソナリティ特徴がある人に多く生じます。

環境要因:

アルコール中毒は、過量飲酒をした場合に多く生じます。

 

診断基準:DSM-5

A.最近のアルコール摂取

B.臨床的に意味のある不適応性の行動的または心理学的変化(例:不適切な性的または攻撃的行動、気分の不安定、判断能力の低下)が、アルコール摂取中または摂取後すぐに発現する。

C.以下の徴候または症状のうち1つ(またはそれ以上)が、アルコール使用中または使用後すぐに発現する。

  1. ろれつの回らない会話
  2. 協調運動障害
  3. 不安定歩行
  4. 眼振
  5. 注意または記憶力の低下
  6. 昏迷または昏睡

 

D.その徴候または症状は、他の医学的疾患によるものではなく、他の物質による中毒を含む他の精神疾患ではうまく説明されない。

 

※参考文献

『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』(医学書院)

『カプラン 臨床精神医学テキスト 日本語版第3版』(メディカルサイエンスインターナショナル)

『DSM-5 ケースファイル』(医学書院)

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