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表出性言語障害

単語,時制,複雑な文の作成,言語の想起に障害がみられることが特徴です。

 

診断

患者の示す言語機能の障害は選択的であり,非言語的領域および受容技能においては,正常機能です。診断を確定するには,表出性言語の標準化検査および非言語性知能検査が行われます。障害の重症度は,さまざまな場所(例えば,校庭,教室,自宅,遊び場)で使われる小児の音声言語と身振り言語の機能によって,また他の小児との交互作用によって決定されます。重症例では,18か月までに障害があらわれます。

疫学

  1. 学齢期の小児の3〜5%に発症します。
  2. 男性に2〜3倍多いです。
  3. 親族に他のコミュニケーション障害の既往があります。

 

原因

  1. 大脳の微細な損傷と大脳発達の成熟の遅れが原因となりえます。
  2. 左利きと両利きに関係しています。
  3. 一卵性双生児一致率が高いです。
  4. 遺伝的,環境的要因,および教育上の要因が関与するようです。

鑑別診断

  1. 精神遅滞 知的機能が全般にわたって障害されているので,非言語性知的能力も正常範囲内にはありません。
  2. 受容―表出混合性言語障害 言語の理解(解読[decoding])は,期待される年齢相応の水準を下回ります。
  3. 広汎性発達障害 内的言語をもたないか,身振りを適切に使うことが全くありません。また,音声言語を使ったコミュニケーションができないことに対する欲求不満は,ほとんどもしくは全く示しません。
  4. 失語症,不完全失語症 発達早期の言語発達は正常です。言語の障害は頭部外傷またはその他の神経学的障害(例えば,けいれん障害)の後に生じます。
  5. 選択制緘黙 言語発達は正常です。

 

経過と予後

回復の速さと速度は,障害の重症度,患児本人の治療に対する動機づけ,言語療法や他の治療的介入の開始時期が適切であるかどうかにかかっています。軽症例の50%近くは自然に回復するが,重症例では言語障害の複数の特徴を示し続けます。

 

治療

  1. 治療教育 言語療法の目的は,言葉を使うことでコミュニケーションの戦略と対人的相互作用を向上させることにあります。
  2. 精神療法 効率のよいコミュニケーションのお手本として,また言語の障害が自尊心に影響を与える場合には社会技能を広げるために,精神療法が用いられることもあります。両親に対する支持的なカウンセリングが有効な症例もあります。

 

 

診断基準

DSM-W-TR ICD-10
コード番号315.31
表出性言語障害
(expressive language disorder)
コード番号F80.1
表出性言語障害
(Expressive language disorder)
  1. .表出性言語発達についての個別 施行による標準化検査で得られた 得点が,非言語的知的能力および 受容性言語の発達の得点に比して 十分に低い。この障害は,著しく限定 された語彙,時制の誤りをおかすこ と,または単語を思い出すことや発 達的に適切な長さと複雑さをもつ文 章を作ることの困難などの症状によ り臨床的に明らかになるかもしれな い。
  2. .表出性言語の障害が,学業的また は職業的成績,または対人的コミュ ケーションを妨害している。
  3. .受容ー表出混合性言語障害また は広汎性発達障害の基準を満たさ ない。
  4. .精神遅滞,言語ー運動または感覚 器の欠陥,または環境的不備が存在 する場合,言語の困難は通常それに 伴うものより過剰である。

言語理解は正常範囲にもかかわら ず,表出言語を使用する能力がその 小児の精神年齢に即した水準から 明らかに低下している特異的発達 障害。構音の異常はあることもない こともある。

診断ガイドライン

言語の発達は,正常でもかなりの個 体差が認められるが,2歳までの単 一語(あるいは語らしきもの)の欠如 と,3歳までの単純な二語文の生成 の欠如は,明らかな遅滞の徴候と とるべきである。それ以降では以下 の障害が含まれる。ごく限られた語 彙の発達,一般的な語の簡単な組 み合わせの過度の使用,適切な語 の選択の障害と語の代用,発語の 短縮,未熟な文章構造,文章構成 の誤り,とくに語尾と接頭辞の省略, 前置詞,代名詞,冠詞,動詞と名詞 の語尾変化のような文法的特徴の 誤用や使用の欠如,また,文の流暢 さが欠けたり,過去の出来事を述べ る際に前後関係がわからなくなるよう な,規則の誤った過度な一般化が 生じることがある。

話し言葉の障害はしばしば語音の 産出の遅滞や異常を伴う。

診断は,精神年齢の正常範囲を超え た,重度の表出性言語の発達の遅滞 がみられるが,しかし受容性言語能 力は正常範囲内である(しばしば平 均からいくらか下回ることもある)とき にのみくだすべきである。非言語的 な手がかり(微笑みやジェスチャーの ような),および想像遊びあるいは ごっこ遊びに反映されるような「内」 言語の使用は比較的保たれ,言葉 を用いないで社会的に交流する能力 は比較的障害されないでいなければ ならない。言語障害にもかかわらず コミュニケーションを求めようとし,実 演,ジェスチャー,身振り,言葉でな い発声によって言葉のなさを補おうと する傾向がある。しかしながら,とく に学齢期の小児では,交友関係の 困難,情緒障害,行動上の混乱,お よび/または多動と不注意などが随 伴することがまれではない。一部の 症例では,言語の遅れを来すほど 重大なものではないが,何らかの部 分的な(しばしば選択的な)聴覚欠損 が加わっていることもある。会話のや りとりの中で適切な関係を持てない こと,あるいはより全般的な環境の 不十分さは,表出性言語の発達の 障害の起源として大きなあるいは 決定的な要因となることがある。こう した症例では,環境要因を適切な Zコードで記すべきである。障害は, 正常な言語使用の明らかな長期の 持続の期間がなく,乳児期からずっ と明らかでなければならない。しかし ながら明らかに正常な2,3の単一語 の使用がみられた後に,それが 後退してしまったり,発達しなかった りすることはまれではない。

<含>発達性発語困難あるいは失語, 表出型   <除>てんかんに伴う後天性失語(ラ ンドウ-クレフナー症候群)(F80.3)

発語困難あるいは失語 特定不能(R47.0)

発達性,受容性(F80.2)

選択性緘黙(F94.0)

精神遅滞(F70-F79)

広汎性発達障害(F84.-)

【参考・引用文献】

・カプラン精神医学ハンドブック 融道男他訳 2010 メディカルサイエンスインターナショナル

・ ICD-10精神および行動の障害 臨床記述と診断ガイドライン 融道男他監訳 2009 医学書院

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