トップページ 診療案内 各種プログラム こころのはなし ご家族 家族教室 サイトマップ English
こころのはなし

こころの病気のはなし > 専門編 > 小児期崩壊性障害

小児期崩壊性障害

知的機能、社会機能、言語機能の崩壊が、少なくとも2年間の正常発達の後に出現する障害です。通常2〜5歳で言語能力の退行がみられ、この退行が6ヶ月程度で終わり、自閉症と類似の臨床症状を示すようになります。小児の0.005%に発症し、男性に4〜8倍多いとされています。

【参照】 自閉性障害(自閉症)

 

特 徴

中核となる特徴には、言語、社会的行動、適応的行動、排便・膀胱コントロール、遊び、運動技能の能力障害があります。

 

原 因

原因は不明です。けいれん性障害、結節性硬化症、さまざまな代謝疾患などの他の神経学的疾患との関連があるかもしれないとされています。

 

経過と予後

経過は多様ですが、たいていの症例で平衡に達します。たいていの患者は何らかの中等度精神遅滞を残します。

 

治 療

自閉症と同様のアプローチを行います。

 

診断基準

DSM-W-TR ICD-10
コード番号299.10 コード番号F84.3
  1. 生後の少なくとも2年間の明らかに正常な発達があり、それは年齢に相応した言語的および非言語的コミュニケーション、対人関係、遊び、適応行動の存在により示される。
  2. 以下の少なくとも2つの領域で、すでに獲得していた技能の臨床的に著しい喪失が(10歳以前に)起こる。
  1. 表出性または受容性言語
  2. 対人的技能または適応行動
  3. 排便または排尿の機能
  4. 遊び
  5. 運動能力
  1. 以下の少なくとも2つの領域における機能の異常
  1. 対人的相互反応における質的な障害(例:非言語的な行動の障害、仲間関係の発達の失敗、対人的ないし情緒的な相互性の欠如)
  2. コミュニケーションの質的な障害(例:話し言葉の遅れないし欠如、会話の開始または継続することが不能、常同的で反復的な言語の使用、変化に富んだごっこ遊びの欠如)
  3. 運動性の常同症や衒奇症を含む、限定的、反復的、常同的な行動、興味、活動の型
  1. この障害は他の特定の広汎性発達障害または統合失調症ではうまく説明されない。

(含)幼児性認知症、崩壊性精神病、ヘラー症候群、共生精神病

(除)てんかんに伴う後天性失語(F80.3)、選択性緘黙(F94.0)、レット症候群(F84.2)、統合失調症(F20.-)

[定義]

ICD-10では、他の小児期崩壊性障害
Other childhood disintegrative disorderとされ、(レット症候群以外の)広汎性発達障害で、機能における特徴的異常の発症とともに、社会的機能、コミュニケーション機能、および行動障害の発症に先立って明らかな正常の発達期間が存在すること、そして明らかに数ヶ月にわたって、以前に獲得された能力が、少なくともいくつかの領域において、喪失していることによって定義される。

[症状]

しばしば漠然とした疾病の前駆期がある。

言うことをきかなくなり、いらいらし、不安で過動を示す。そのあと興味の貧困化が起こり、続いて行動の崩壊を伴って言語喪失が起こる。

[経過と予後]

一部の症例では(障害が進行性の診断可能な神経学的病態と関連しているとき)技能の喪失は常に進行性であるが、多くの症例ではしばしば数ヶ月にわたる悪化ののち進行が停止し、その後平衡状態、それから限局性の改善をみる。予後は通常非常に悪く、大多数に重度の精神遅滞が残る。

[他の病態との区別]

この病態が自閉症とどの程度異なるかは不明である。障害が脳症に伴って起こると考えられる症例もあるが、診断は行動面での特徴に基づいて行うべきである。神経学的病態を伴うときは、別に分類すべきである。

[発症年齢]

少なくとも2歳まで外見上は正常に発達したのちに発症する。

[診断特徴]

診断は、それまでに獲得した技能が明らかに喪失したことに基づいてくだされる。この障害は質的な社会機能の異常を伴っている。重篤な言語の退行、あるいは言語喪失、遊び、社会的技能および適応行動のレベルの退行が通常みられ、時に運動統制の解体を伴う大小便のコントロールの喪失がしばしば起こる。 典型的には、周囲への全般的な関心喪失、常同的で反復性の奇妙な行動、および社会的相互関係とコミュニケーションに関する自閉症に似た障害が付随する。

【自閉性障害との区別】

小児期崩壊性障害は正常な発達の後に発達指標の後退を示しますが、自閉性障害は、発達指標の後退を示すことがありません。

【レット障害との区別】

レット障害は、小児期崩壊性障害よりも、より早期に(4歳以前、通常生後1年または2年に)発症します。

【成人期における認知症との区別】

小児期崩壊性障害は、幼児性認知症も含みますが、以下の3つの主な点で、成人期における認知症と異なるとされています。(ICD-10による診断基準より)

  1. 成人期における認知症では、通常ある型の器質的脳機能障害が推定されますが、小児期崩壊性障害では、同定可能な器質的疾患や障害の証拠が認められないことがふつうである。
  2. 技能の喪失の後、ある程度の回復のみられることがある。
  3. 社会性およびコミュニケーションの障害は、知的低下というよりも、自閉症に典型的にみられる質的偏りである。

【参考・引用文献】

・DSM-W-TR精神疾患の分類と診断の手引 新訂版 高橋三郎他訳 2010 医学書院

・カプラン精神医学ハンドブック 融道男他訳 2010 メディカルサイエンスインターナショナル

・ICD-10精神および行動の障害 臨床記述と診断ガイドライン 融道男他監訳 2009 医学書院

・知っておきたい精神医学の基礎知識 サイコロジストとコ・メディカルのために
上島国敏・上別府圭子・平島奈津子編 2010 誠信書房

こころのはなし こころの病気の知識 こころの病気のはなし-1こころの病気のはなし-2こころの病まめ知識福祉用語の基礎知識 お役立ち情報自立支援医療制度 ソーシャルワーカーよりデイケア社会資源情報社会資源情報こころの健康アラカルトクリニック広場デイケア通信リンク集 トップページへ