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統合失調質パーソナリティ障害

F60.1 統合失調質パーソナリティ障害

Schizoid personality disorder

シゾイドパーソナリティ障害/スキゾイドパーソナリティ障害

 

疾患の具体例

29歳、男性。システムエンジニアとして働いています。仕事ぶりは正確で、没頭するように働くことから、大きなプロジェクトを任されるようになりました。しかし、部下に仕事を教えず、最低限の会話もしません。プロジェクトは上手く進まず、休止に追い込まれました。上司が問いただすと、悪びれるそぶりもなく、「他人と関わることが苦痛で、友人や恋人と呼べる存在ができたことはない。家族とも疎遠だが、それらが苦痛とも感じていない」と説明しました。

 

特徴

統合失調質パーソナリティ障害は、「シゾイドパーソナリティ障害」または「スキゾイドパーソナリティ障害」とも言います。「Schizoid」とは「統合失調症の」や「統合失調症のような」という意味ですが、統合失調症そのものとは別の障害です。

統合失調質パーソナリティ障害のある人は、他人と親密になりたいと思わず、一人で過ごすことを好みます。家族以外に親しい友人や信頼できる人がいないばかりか、時には家族さえも疎遠になります。他人からの賞賛や批判に興味がなく、周囲が自分をどう見ているかは気になりません。怒りや喜びのような強い感情を抱くことも滅多にありません。社会的に孤立しがちで、いわゆる一匹狼のように見えます。ただ、一人きりで行う仕事であれば、職業的に成功することもあります。

また、性体験に関心を持つこともほとんどないため、生涯独身の男性が多く見られます。女性は積極的な男性と受け身な結婚をすることがあります。

中には終生の社会的引きこもりをする患者さんもいます。記憶力がいい、動物を手なずけるのが上手いといった特徴もあります。

 

有病率

アメリカ精神医学会の診断と統計マニュアル「DSM-5」によると、「全米併存症再調査研究パートU」におけるシゾイドパーソナリティ障害の有病率は4.9%と推定されています。また、2001〜2002年に行われた「全米におけるアルコールおよび関連疾患に関する全国疫学調査」では3.1%と推定されています。

男女比は、男性のほうが若干多く診断され、なおかつ強い障害を引き起こすようだと考えられています。

 

経 過

この障害のある人は孤立することが多く、仲間関係の乏しさや学業不振のために、小児期や青年期にあきらかになります。周囲から「変わっている」とみなされ、いじめにあうこともあります。

 

原 因

遺伝要因と生理学的要因:統合失調症または統合失調型パーソナリティ障害のある人の親族は、有病率が高くなっているかもしれません。

 

治 療

シゾイドパーソナリティ障害のある人は、集団療法の場で長時間にわたって沈黙を続けますが、そのうち一緒に治療を受ける人達と交流し出す可能性があります。薬物療法としては、抗精神病薬、抗うつ薬、少量の精神刺激薬の投与が有効だった患者さんがいます。セロトニン系の薬物によって、周囲を拒絶する反応が弱まることもあります。ベンゾジアゼピン系の薬物は、対人関係への不安を少なくする可能性があります。

 

診断基準:ICD-10

以下の記述を満たすパーソナリティ障害

  1. 何らかの活動をしても、ほとんど喜びが得られないこと。
  2. 感情的な冷淡さ、無関心な態度あるいは平板化した感情を示すこと。
  3. 他人に対するあたたかい優しい感情や怒りの表出の乏しいこと。
  4. 賞賛にも批判にも無関心なこと。
  5. 他人と性的関係を持つことにわずかしか興味を示さないこと(年齢を考慮すると)。
  6. ほとんどいつも孤立した活動を好んで選ぶこと。
  7. 過度に空想や内省に没頭すること。
  8. 親密な友人や信頼できる人間関係を持たず(またはたった一人だけ)、またそれを望みもしないこと。
  9. 支配的な社会的規範および習慣に対して著しく鈍感なこと。

 

診断基準:DSM-5

A. 社会的関係からの離脱、対人関係場面での情動表現の範囲の限定などの広範な様式で、成人期早期までに始まり、種々の状況で明らかになる。以下のうち4つ(またはそれ以上)によって示される。

  1. 家族の一員であることを含めて、親密な関係をもちたいと思わない、またはそれを楽しいと感じない。
  2. ほとんどいつも孤立した行動を選択する。
  3. 他人と性体験をもつことに対する興味が、もしあったとしても、少ししかない。
  4. 喜びを感じられるような活動が、もしあったとしても、少ししかない。
  5. 第一度親族以外には、親しい友人または信頼できる友人がいない。
  6. 他人の賞賛や批判に対して無関心に見える。
  7. 情動的冷淡さ、離脱、または平板な感情状態を示す。

B. 統合失調症、「双極性障害または抑うつ障害、精神病性の特徴を伴う」、他の精神病性障害、または自閉スペクトラム症の経過中にのみ起こるものではなく、他の医学的疾患の生理学的作用によるものでもない。

 

注:統合失調症の発症前に基準が満たされている場合には、「病前」とつけ加える。すなわち、「シゾイドパーソナリティ障害(病前)」。

 

※参考文献

『ICD-10 精神および行動の障害 臨床記述と診断ガイドライン(新訂版)』(医学書院)

『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』(医学書院)

『カプラン 臨床精神医学テキスト』(メディカルサイエンスインターナショナル)

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