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非社会性パーソナリティ障害

F60.2 非社会性パーソナリティ障害 Dissocial personality disorde

反社会性パーソナリティ障害 Antisocial personality disorder

疾患の具体例

23歳、男性。子どもの頃から非行歴があり、中学生時代は少年院で過ごしました。成人後、暴力や万引き、交通違反などでたびたび警察に逮捕されています。一つの仕事が続かず、経済的に困窮した結果、窃盗に至ることもあります。親と同居していますが、家庭内で暴力を振るうこともあります。困り果てた親が精神科病院に連れて行くと「反社会性パーソナリティ障害」と診断されました。

 

特徴

反社会性パーソナリティ障害は、社会の規範を破り、他人を欺いたり権利を侵害したりすることに罪悪感を持たない障害です。精神病質、社会病質、あるいは非社会性パーソナリティ障害とも呼ばれます。診断するには、少なくとも18歳以上で、15歳以前にいくつかの素行症の症状が出現していることなどが要件になります。素行症とは、社会から要求される規範や規則を守らない行動の反復、持続です。たとえば、人や動物への攻撃、所有物の破壊、虚偽または窃盗、重大な規則違反などが挙げられます。
この障害を持つ人たちは、窃盗や非合法な職業、飲酒運転、速度超過など、逮捕されるかもしれない行動を繰り返すことがあります。いらだたしく攻撃的な面があり、殴り合いのケンカに参加したり、家族に身体的暴力に及んだりするケースもあります。子どもがいる場合は、虐待やネグレクトや、育児放棄につながる可能性もあります。自分の利益や快楽(金銭、性交渉、または権力を手に入れること)のために、人を欺いたり操作したりするほか、将来の計画を立てられないために衝動的な行動に出る傾向が見受けられます。
深く考えずにすぐ決断し、その結果について顧みることはあまりありません。自分の行為によって他人が傷ついても、「人生は不平等なものだ」「負けるほうが悪い」などと被害者を非難する言動をとりがちです。自分の行為を償ったり、行動を改めたりする発想を持たないのです。自説に固執し、自信過剰な傾向も見られます。口が達者で、専門用語や特殊用語を用いて自分を誇示するため、表面的な魅力を示すように見えることもあります。
また、いつも極端に無責任な傾向があります。十分な理由もなく職に就かなかったり、繰り返し仕事を休んだりします。借金や子どもの扶養の放棄、浪費による家計破綻などもよく見られます。性的な関係においても無責任で、過去に多くの相手と関係を持っており、一人と関係を続けたことがない人もいます。

こうした行動の結果、貧困やホームレス状態に陥ったり、刑務所で過ごしたりするようになるかもしれません。また、暴力的な方法(自殺、事故、殺人など)によって若くして死亡しやすい傾向があります。

 

原 因

従来のDSMの基準を用いた調査では、反社会性パーソナリティ障害の有病率は0.2〜3.3%だとされています。しかし、アルコール使用障害があることや、物質乱用外来、刑務所などにおける男性は70%を超えます。貧困や、移民などの状況におかれた人は、さらに有病率が高まります。なお、不安症、抑うつ障害、物質使用障害、および他の衝動制御の障害を伴っていることもあります。

 

有病率

従来のDSMの基準を用いた調査では、反社会性パーソナリティ障害の有病率は0.2〜3.3%だとされています。しかし、アルコール使用障害があることや、物質乱用外来、刑務所などにおける男性は70%を超えます。貧困や、移民などの状況におかれた人は、さらに有病率が高まります。なお、不安症、抑うつ障害、物質使用障害、および他の衝動制御の障害を伴っていることもあります。

 

経 過

小児期あるいは青年期早期より始まり、成人後も続きます。慢性の経過をたどりますが、40歳までに症状が軽くなったり、寛解したりすることがあります。犯罪行為に関与することについては、特に寛解することが多いと言われています。その他の反社会行動、物質乱用も減少するようです。

 

診断基準:ICD-10

  1. 他人の感情への冷淡な無関心。
  2. 社会的規範、規則、責務への著しい持続的な無責任と無視の態度。
  3. 人間関係を築くことに困難はないにもかかわらず、持続的な人間関係を維持できないこと。
  4. フラストレーションに対する耐性が非常に低いこと。および暴力を含む攻撃性の発散に対する閾値が低いこと。
  5. 罪悪感を感じることができないこと、あるいは経験、特に刑罰から学ぶことができないこと。
  6. 他人を非難する傾向、あるいは社会と衝突を引き起こす行動をもっともらしく合理化したりする傾向が著しいこと。持続的な易刺激性も随伴症状として存在することがある。小児期および思春期に後遺障害が存在すれば、いつも存在するわけではないが、この診断をよりいっそう確実にする。

 

診断基準:DSM-5

A. 他人の権利を無視し侵害する広範な様式で、15歳以上で起こっており、以下のうち3つ(またはそれ以上)によって示される。

  1. 法にかなった行動という点で社会的規範に適合しないこと。これは逮捕の原因になる行為を繰り返し行うことで示される。
  2. 虚偽性、これは繰り返し嘘をつくこと、偽名を使うこと、または自分の利益や快楽のために人をだますことによって示される。
  3. 衝動性、または将来の計画を立てられないこと。
  4. いらだたしさおよび攻撃性、これは仕事を安定して続けられない、または経済的な義務を果たさない、ということを繰り返すことによって示される。
  5. 自分または他人の安全を考えない無謀さ。
  6. 一貫して無責任であること。これは仕事を安定して続けられない、または経済的な義務を果たさない、ということを繰り返すことによって示される。
  7. 良心の呵責の欠如、これは他人を傷つけたり、いじめたり、または他人のものを盗んだりしたことに無関心であったり、これを正当化したりすることによって示される。

 

B. その人は少なくとも18歳以上である。

C. 15歳以前に発症した素行症の証拠がある。

D. 反社会的な行為が起こるのは、統合失調症や双極性障害の経過中のみではない。

 

※参考文献

『ICD-10 精神および行動の障害 臨床記述と診断ガイドライン(新訂版)』(医学書院)

『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』(医学書院)

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