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回避性パーソナリティ障害

回避性パーソナリティ障害は,傷つきと失敗を恐れるあまり,人と接触したり,課題にチャレンジしたりすること自体を避けてしまうことを特徴とするパーソナリティ障害です。

どうせ自分は失敗してしまう,どうせ自分は人から嫌われてしまうという否定的な思い込みが強く,それなら最初から何もしないでいるのが一番安全で楽だと考えてしまうのです。その結果,進学,就職,結婚という人生の大きな選択を避けたり,実力以下の損な選択をわざわざ選んだり,自分からチャンスを潰してしまいがちです。恥ずかしがりやで失敗して恥をかくことを極度に恐れます。その恐れのためにすべてのチャレンジを諦めてしまうのです。

対人関係においても不安感や緊張が強く,いかにも自信がないというオドオドした人が多く,本来の魅力が生彩を欠いて見えてしまいます。運動したり,体を人前にさらしたりするのも苦手で,肉体関係を持つことにも自信がなく消極的です。相手が好意を抱いてくれていても,自分はどうせ退屈で魅力のない人間なので,嫌われてしまうからと思い込み,身を引いてしまうこともあります。

 

定義

患者のパーソナリティは引っ込み思案で臆病であり,拒絶に対する感受性が高いです。非社交的ではなく,交際に対する強い欲求があります。

しかし,安心を与えられ,批判抜きの受容を保証されることがとても重要です。「劣等コンプレックス」をもつと記述されることがあります。

 

疫学

  1. 有病率は一般人口の0.05〜1%,外来患者の10%です。
  2. 小児•青年期の回避性障害,または身体疾患による身体の変形が素因として考えられます。

 

原因

両親のあからさまな批判、過保護、または両親の恐怖症的傾向が発病に関連すると思われている因子です。

 

精神力動論

  1. 回避と抑止は防衛機制です。
  2. 拒絶に対する強い恐怖感が,エディプス期または前エディプス期に由来する攻撃性を覆い隠します。

 

診断

臨床面接において,患者は面接官に対して話すことへの不安を示すことが多いです。

患者の神経質で緊張した態度は,面接者が患者に好感をもつと感じれば弱まり,そうでなければ強まります。

患者は面接者の発言や提案に傷つきやすく,明確化や解釈を批判と受け止めることがあります。

 

鑑別診断

  1. シゾイドパーソナリティ障害 他者とかかわりをもとうとする明らかな欲求はありません。
  2. 社会恐怖 対人関係ではなく,むしろ特定の社会的状況が回避されます。両疾患は共存することもあります。
  3. 依存性パーソナリティ障害 愛着を回避しません。見捨てられ恐怖がより強いです。両疾患は共存することもあります。
  4. 境界性および演技性パーソナリティ障害 患者は注文が多く,怒りっぽく,予測がつきません。

 

経過と予後

保護的な環境で最もよく力を発揮することがあります。社会恐怖と気分障害を合併することがあります。

 

治療

  1. 精神療法
    精神療法は患者との治療同盟を結べるかどうかによって決まります。信頼感が醸成されるにつれて,医師が患者の恐怖,特に拒絶への恐怖に対してこころを開いた態度を伝えることが重要となります。治療場面外で新しい社会技能の実践練習を宿題に課すことには注意深くあるべきです。失敗すると患者の低い自尊心がさらに低くなることがあるからです。集団療法は,拒絶に対する感受性が自分自身と他者に及ぼす効果を理解するのを助けます。行動療法における自己主張トレーニングは,自分の要求を公言し自己の自尊心を高めることを教えるのに役立つことがあります。
  2. 薬物療法
    薬物療法は不安と抑うつの対処に有効です。βアドレナリン受容体拮抗薬,例えば,アテノロールは,恐怖を生ずる状況に近づくときに特に強まる自律神経系の過活動をコントロールするのに役に立つことがあります。セロトニン作動薬も拒絶への感受性コントロールに役に立ちます。ドパミン作動薬はこれらの患者の新奇探索行動を増加させることがありますが,その後生ずるであろう新しい体験に対して心理学的に準備する必要があります。

 

診断基準

DSM-W-TR ICD-10
コード番号 301.82
回避性パーソナリティ障害
(avoidant personality disorder)
コード番号 F60.6
不安性(回避性)パーソナリティ障害
(Anxious personality disorder)

社会的抑止,不全感,および否定 的評価に対する過敏性の広範な 様式で,成人期早期までに始まり, 種々の状況で明らかになる。以下 のうち4つ(またはそれ以上)によっ て示される。

  1. 批判,否認,または拒絶に対す る恐怖のために,重要な対人接触 のある職業的活動を避ける。
  2. 好かれていると確信できなけれ ば,人と関係をもちたいと思わない 。
  3. 恥をかかされること,またはば かにされることを恐れるために,親 密な関係の中でも遠慮を示す。
  4. 社会的な状況では,批判される こと,または拒絶されることに心が とらわれている。
  5. 不全感のために,新しい対人関 係状況で制止が起こる。
  6. 自分は社会的に不適切である, 人間として長所がない,または他 の人より劣っていると思っている。
  7. 恥ずかしいことになるかもしれ ないという理由で,個人的な危険を おかすこと,または何か新しい活動 にとりかかることに,異常なほど引 っ込み思案である。

以下によって特徴づけられるパー ソナリティ障害。

  1. 持続的ですべてにわたる緊張と 心配の感情。
  2. 自分が社会的に不適格である, 人柄に魅力がない,あるいは他人 に劣っているという確信。
  3. 社会的場面で批判されたり拒 否されたりすることについての過度 のとらわれ。
  4. 好かれていると確信できなけれ ば,人と関わることに乗り気でない こと。
  5. 身体的な安全への欲求からラ イフスタイルに制限を加えること。 批判,非難あるいは拒絶をおそれ て重要な対人的接触を伴う社会的 あるいは職業的活動を回避するこ と。

関連病像には拒絶および批判に 対する過敏さが含まれる。

【参考・引用文献】

・カプラン精神医学ハンドブック 融道男他訳 2010 メディカルサイエンスインターナショナル

・パーソナリティ障害がわかる本 岡田尊司 2006 法研

・ICD-10精神および行動の障害 臨床記述と診断ガイドライン 融道男他監訳 2009 医学書院

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