トップページ 診療案内 各種プログラム こころのはなし ご家族 家族教室 サイトマップ English
こころのはなし

こころの病気のはなし > 専門編 > オルガズム障害

オルガズム障害・女性オルガズム障害

F52.3 オルガズム障害 Orgasmic dysfunction

女性オルガズム障害 Female Orgasmic Dysfunction

疾患の具体例

42歳、女性。夫とはごく普通に性生活があり、以前はオルガズムも得られていました。現在も夫婦関係は良好です。しかし、半年ほど前からオルガズムを得ることが難しくなりました。月2〜3回の頻度で性交をしていますが、そのうちのほとんどで症状が見られます。思い当たる点は、仕事上のストレスで1年ほど前にうつ病を患い、「SSRI」(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)という治療薬を内服していることです。主治医に相談すると、SSRIの影響による「オルガズム障害」だと説明されました。

 

特徴

性交時にオルガズムがまったく起こらないか、または非常に遅れる状態です。症状がほとんどいつも、あるいは常に(75〜100%)経験され、少なくとも約6カ月間は持続します。男性よりも、女性により一般的に見られます。

これまで一度もオルガズムを得たことがない場合を「生来型」、過去にはオルガズムを得ていたのに、それが不可能か難しくなった場合を「獲得型」と分類します。医療機関に相談する女性の割合は、獲得型の方が多いと言われています。

ただ、もともと女性のオルガズムのあり方は人によって多種多様です。アメリカの性科学者アルフレッド・キンゼイの報告によると、約50%の女性は自慰行為やパートナーとの性行為によって思春期に初めてオルガズムを得るそうです。その他の多くの女性は、年をとるにつれて経験します。一度もオルガズムを経験したことのない女性は、未婚女性に多いとも言われています。35歳以上の女性でオルガズムを得やすくなりますが、その背景には、心理的抑制が少なくなることや、性的な経験が増加することなどが関係しています。

 

有病率

キンゼイによれば、35歳以上の既婚女性において、いかなる手段においてもオルガズムを得ることができなかった人は5%だと言います。ただ、複数の要因(年齢、文化、持続期間、症状の重症度)などを勘案すると、10〜42%と大きく変わるとも言われています。

また、ある臨床施設では、オルガズムを得られない女性は、他の性機能障害の女性の約4倍も存在すると報告しています。女性の46%がオルガズムに達することが困難であると不満を述べているという報告もあります。

 

原 因

気質原因:幅広い心理的要因があります。例えば、妊娠やパートナーから拒絶されることの恐怖、膣への損傷、男性に対する敵意、性的衝動への罪の意識などが挙げられます。 環境要因:対人関係、身体的健康、精神衛生に困難や不安があると、女性のオルガズム障害に影響します。女性に対する文化的な期待と社会規範も関係します。性的な喜びははしたないこと、上品な女性が得るべきではないことのように教育されると、オルガズムが困難になり得ます。

遺伝要因と生理学的要因:医学的疾患や医薬品を含め、多くの生理学的要因が女性のオルガズムの経験に影響する可能性があります。具体的には、多発性硬化症、広範子宮全摘出による骨盤神経損傷、脊髄損傷といった状態は、いずれもオルガズム機能に影響するかもしれません。外陰膣萎縮(膣の乾燥、痒み、痛みなどの症状)がある女性は、ない女性に比べるとオルガズム障害になる傾向が高くなります。うつ病の治療薬としてよく使われる「SSRIは、オルガズムを遅れさせたり抑制したりすることが知られています。

他に、遺伝的要因があるかもしれませんが、それよりも心理学的、社会文化的、生理学的要因が複雑に相互作用し、オルガズムの困難に影響を与えていると考えられます。

なお、閉経とオルガズム障害は必ずしも関連しません。上記にある原因が見当たらない場合は、性交時の性的刺激が不十分でないかも考慮する必要があります。

 

診断基準:ICD-10

記載なし

 

診断基準:DSM-5

A.以下の症状のいずれかが存在し、性行為において(特定の状況、または全般的ではあらゆる状況で)ほとんどいつも、または常に(約75〜100%)経験される。

  1. オルガズムの著しい遅延、著しい低頻度、または欠如
  2. オルガズムの感覚の著しい強度低下

B.基準Aの症状は、少なくとも約6カ月間は持続している。

C.基準Aの症状は、その人に臨床的に意味のある苦痛を引き起こしている。

D.その性機能不全は、性関連以外の精神疾患、または重篤な対人関係上の苦痛(例:パートナーからの暴力)、または他の意味のあるストレス因の影響ではうまく説明されないし、物質・医薬品または他の医学的疾患の作用によるものではない。

 

※参考文献

『ICD-10 精神および行動の障害 臨床記述と診断ガイドライン(新訂版)』(医学書院)

『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』(医学書院)

『カプラン 臨床精神医学テキスト』(メディカルサイエンスインターナショナル)

こころのはなし こころの病気の知識 こころの病気のはなし-1こころの病気のはなし-2こころの病まめ知識福祉用語の基礎知識 お役立ち情報自立支援医療制度 ソーシャルワーカーよりデイケア社会資源情報社会資源情報こころの健康アラカルトクリニック広場デイケア通信リンク集 トップページへ