トップページ 診療案内 各種プログラム こころのはなし ご家族 家族教室 サイトマップ English
こころのはなし

こころの病気のはなし > 専門編 > 性器反応不全/勃起障害

性器反応不全/勃起障害

F52.2 性器反応不全 Failure of genital response

勃起障害 Erectile Disorder

疾患の具体例

45歳、男性。2年ほど前からうつ病を患っています。自慰行為の際には通常通り勃起するものの、妻との性行為になると勃起しないか、できても十分に維持できません。そのため、セックスレスの状態が続いています。男性としての自信が低下し、徐々に妻との関係も悪化しており、夫婦ともに何とか解決できないかと悩んでいます。定期的に診察を受けている精神科で相談すると、「状況型」の勃起障害と診断されました。

 

症 状

男性の勃起障害(Erectile Disorder:ED)は、勃起機能不全またはインポテンスとも呼ばれます。パートナーとの性行為において勃起すること、または勃起を維持できない期間が最低でも6カ月にわたり、性行為をする機会の大半(最低でも75%)に起こる状態です。

勃起障害は、症状の現れ方によって4つに分類されています。「生来型」の勃起障害は、生まれてから一度も膣に挿入するのに十分な勃起を得たことがないケースを指します。「獲得型」は、最初は膣に挿入できていたものの、後にできなくなるケース。「全般型」は相手が誰であるか、どんな性的刺激であるかを問わず勃起できないケースです。それとは逆に、「状況型」はある状況下では性行為 ができても、別の状況ではできないケース。例えば、性風俗などでは勃起できても、妻にはしないといった状態のことを言います。

勃起障害を持つ男性は、自尊心の低さ、男性性意識の低さが見られ、抑うつ感情を経験していることも少なくありません。将来の性体験に対する恐怖心から、性的な出会いを阻むことにつながるかもしれません。また、勃起障害は生殖能力を損ない、パートナーの性的満足感と性欲を低下させることがよくあります。

 

有病率

勃起障害の有病率は、年齢が上がるほど高くなります。40〜50歳より若い男性で頻繁に症状を訴える割合は約2%。40〜80歳の男性は約13〜21%が時に症状を訴えます。60〜70歳以上の高齢になると40〜50%に症状が生じる可能性があります。ただ、全ての高齢男性に勃起障害が起こるわけではありません。性交渉の相手がいることが、性的能力の持続に寄与しているとも考えられます。

なお、約20%の男性が初めての性体験で勃起できないのではないかと恐れていますが、挿入を妨げるような経験をする男性は約8%です。

 

原 因

自慰や睡眠中、特定の相手以外との性行為で正常に勃起できるのであれば、心因性の原因だと考えられます。抑うつや心的外傷後ストレス障害と診断された男性にもよく見られます。他に、年齢や生活習慣などが原因となっている人もいます。

あるいは、前立腺肥大に関連した下部尿路症状を訴える男性に勃起障害がよく見られます。

脂質異常症、心血管疾患、性腺機能低下症、多発性硬化症、糖尿病、正常な勃起機能に必要な血管・神経・内分泌機能を阻害する疾病などにも、勃起障害が併存する可能性があります。

気質要因:勃起の問題は、大学生では神経症的なパーソナリティの傾向(不安、敵意、抑うつなど)が関係している場合があります。40歳以上では服従的(自己主張が少なく、他人の影響を受けやすい)なパーソナリティの傾向があるかもしれません。

経過の修飾要因:「獲得型」の勃起障害の危険要因には、年齢、喫煙、身体運動の不足、糖尿病、性欲低下が含まれます。

 

経 過

初めての性行為の際の勃起障害は、よく知らない相手との性行為であったり、行為中に薬物やアルコールを使用していたり、仲間からの圧力があったりすることなどが関連します。大半は専門家が介入しなくても自然に解決しますが、中には症状が続く男性もいると考えられます。特に「獲得型」の勃起障害は持続しやすいことがわかっています。

 

診断基準:ICD-10

記載なし

 

診断基準:DSM-5

【勃起障害】

A.次の3つの症状のうち少なくとも1つが、性行為において(特定の状況、または全般型ではあらゆる状況での)、ほとんどいつも、または常に(約75〜100%)経験されなければならない。

  1. 性行為中に勃起することが極めて困難である。
  2. 性行為を完了するまで勃起を維持することが極めて困難である。
  3. 勃起時の硬さの著しい減少。

B.基準Aの症状は、少なくとも約6カ月は持続している。

C.基準Aの症状は、その人に臨床的に意味のある苦痛を引き起こしている。

D.その性機能不全は、性関連以外の精神疾患、または重篤な対人関係上の苦痛、または他の意味のあるストレス因の影響ではうまく説明されないし、物質・医薬品または他の医学的疾患の作用によるものではない。

● いずれかを特定せよ

生来型:その障害は、その人が性的活動を始めたときから存在していた。

獲得型:その障害は、比較的正常な性機能の時間の後に発症した。

全般型:ある特定の刺激、状況、または相手に限られない。

状況型:ある特定の刺激、状況、または相手の場合のみ起こる。

※参考文献

『ICD-10 精神および行動の障害 臨床記述と診断ガイドライン(新訂版)』(医学書院)

『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』(医学書院)

『カプラン 臨床精神医学テキスト』(メディカルサイエンスインターナショナル)

こころのはなし こころの病気の知識 こころの病気のはなし-1こころの病気のはなし-2こころの病まめ知識福祉用語の基礎知識 お役立ち情報自立支援医療制度 ソーシャルワーカーよりデイケア社会資源情報社会資源情報こころの健康アラカルトクリニック広場デイケア通信リンク集 トップページへ