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非器質性睡眠・覚醒スケジュール障害

F51.2 非器質性睡眠・覚醒スケジュール障害

Nonorganic disorder of the sleep wake schedule

概日リズム睡眠−覚醒障害群

Circadian Rhythm Sleep-Wake Disorders

疾患の具体例

36歳、男性。15年以上にわたり、調理師として夜間勤務を続けてきました。毎日の帰宅は午前3時。就寝は午前6時を過ぎます。若い頃は平気でしたが、このところ勤務中に強い眠気に襲われるようになりました。1年前に子どもが生まれ、育児も行うことでさらにぐっすり眠れなくなりました。睡眠外来を受診すると「概日リズム睡眠−覚醒障害群 交代勤務型」と診断されました。

 

特 徴

「非器質性睡眠・覚醒スケジュール障害」は、実際の睡眠・覚醒スケジュールと、患者さんが希望する睡眠・覚醒スケジュールがずれてしまい、不眠あるいは過眠の訴えが生じる疾病です。

近い疾病に「概日リズム睡眠−覚醒障害群」があります。概日リズムとは、いわゆる体内時計のことです。こちらも睡眠のスケジュールがずれる疾患で、症状の現れ方によって「睡眠相後退型」「睡眠相前進型」「不規則睡眠−覚醒型」「非24時間睡眠−覚醒型」「交代勤務型」に分けられます。

 

症 状

[睡眠相後退型]

主な睡眠時間帯(通常は2時間以上)が、希望する睡眠覚醒時間より遅れ、その結果、不眠や過剰な眠気などが生じます。入眠時の不眠、朝の覚醒困難、昼間の過剰な眠気などが顕著です。

[睡眠相前進型]

目覚める時間が希望する時間より数時間早く、早朝の不眠と日中の眠気を伴います。

[不規則睡眠−覚醒型]

まとまった睡眠時間がなく、睡眠が1日の24時間において少なくとも3つの周期に断片化されています。その結果、1日に何度も居眠りをします。

[非24時間睡眠−覚醒型]

24時間の明暗周期と、体内時計のリズムがずれています。無症状の時期から始まり、次第に入眠時不眠になります。その後、主な睡眠時間が日中になります。

[交代勤務型]

夜勤など、一般的な午前8時から午後6時までの時間帯以外に仕事をする人にみられます。勤務中の過剰な眠気や、家庭での睡眠障害などが続きます。

 

原 因

[睡眠相後退型]

光に対する感受性の変化、続けて眠る力の障害などが考えられます。遺伝要因が関係している場合もあります。

[睡眠相前進型]

午後の遅い時間や夜の早い時間に光に当たる時間が短かったり、早朝の起床で朝日を浴びたりすることがリスクの1つになります。遺伝要因が関係している場合もあります。

[不規則睡眠−覚醒型]

アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病などの神経変性疾患や、子どもの神経発達症候群が原因になります。他に、光に当たる時間や、日中の活動の減少が関連する可能性があります。

[非24時間睡眠−覚醒型]

視覚障害の他、外傷制脳損傷もリスクの1つです。視覚障害のない人では、光に当たる時間の減少や、光への感受性の低下などが原因になるかもしれません。

[交代勤務型]

仕事や家庭の都合で、8時間以上の睡眠時間がないことが関係しています。また、交代勤務者は日中勤務者より肥満であることが多いため、閉塞性睡眠時無呼吸があるかもしれず、それにより症状が悪化する場合も考えられます。

 

有病率

[睡眠相後退型]

一般人口における有病率は0.17%。青年期においては7%以上になると言われています。

[睡眠相前進型]

中年成人においておおよそ1%で、高齢者に多いとされています。

[不規則睡眠−覚醒型]

一般人口における有病率は不明。発症年齢はさまざまですが、高齢者においてより高頻度です。

[非24時間睡眠−覚醒型]

一般人口における有病率は不明ですが、視覚障害のある人の50%に生じると推定されます。視覚障害のない人にはまれです。

[交代勤務型]

一般人口における有病率は不明ですが、夜勤者人口(労働人口の16〜20%)の5〜10%がこの障害に罹患すると推定されます。有病率は中年以上に増加します。

 

経 過

[睡眠相後退型]

経過は3ヵ月以上続き、成人期を通してよくなったり悪くなったりします。年をとると症状が軽減することがありますが、症状の再発はよくみられます。

[睡眠相前進型]

通常、成人期後期に発症します。典型的には持続的で、3ヵ月以上続きます。仕事や社会的スケジュールによって悪化するかもしれません。前進した概日睡眠覚醒スケジュールにあわせて勤務スケジュールを調整できる人は症状が寛解することもあります。

[不規則睡眠−覚醒型]

経過は持続的です。

[非24時間睡眠−覚醒型]

経過は持続的で、生涯を通してよくなったり悪くなったりを繰り返します。 [交代勤務型] 分断的な勤務時間が続くと、時間とともに悪化します。

 

診断基準:ICD-10

以下の臨床的特徴は確定診断のために必須である。

  1. 患者の睡眠・覚醒パターンは、その社会で正常とされ、同一の文化環境下にある大多数の人々に共通する睡眠・覚醒スケジュールと同期しない。
  2. 患者は主たる睡眠時間帯には不眠に、覚醒中は過剰な眠気に、少なくとも1ヵ月間ほとんど毎日かあるいは短い間隔で繰り返し悩まされる。
  3. 睡眠の量、質そして時間的調節の不十分さは患者を著しく苦しめたり、毎日の生活における通常の活動を妨げたりする。

この障害の精神科的あるいは身体的原因が確定できないときは、このコードを単独で使用すべきである。それにもかかわらず、不安、抑うつあるいは軽躁などの精神症状があっても、この障害が患者の臨床像を支配しているならば、非器質性睡眠・覚醒スケジュール障害という診断は無効ではない。他の精神症状が非常に顕著で持続的な場合には、特殊な精神障害の診断を別につけるべきである。

 

診断基準:DSM-5

A.持続性または反復性の睡眠分断の様式で、基本的には概日機序の変化、または内因性概日リズムとその人の身体的環境または社会的または職業的スケジュールから要求される睡眠−覚醒スケジュールとの不整合による。

B.その睡眠の分断は、過剰な眠気または不眠、またはその両者をもたらしている。

C.その睡眠の障害は、臨床的に意味のある苦痛、または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。

 

※参考文献

『ICD-10 精神および行動の障害 臨床記述と診断ガイドライン(新訂版)』(医学書院)

『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』(医学書院)

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