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こころの病気のはなし > 専門編 > 双極性感情障害 双極II型障害

双極性感情障害[躁うつ病]双極II型障害

F31 双極性感情障害[躁うつ病] Bipolar affective disorder

双極I型障害 Bipolar II Disorder

 

疾患の具体例

29歳、女性。ある頃から仕事のミスが増え、上司や取引先に叱責されることが続きました。食事も喉を通らず、夜も眠れず、黙っていても涙が流れます。ひどい抑うつ状態に陥ったため、精神科クリニックを受診しました。そこでは、うつ病と診断され、薬を処方されました。やがて症状は回復し、自分では絶好調だと思う日もありました。しかし、調子のいい日は長く続かず、再び抑うつ状態にさいなまれました。その後も、気分が回復することもありましたが、決まって、数日後には抑うつ状態に戻ります。会社も休みがちになり、心配した同僚から別のクリニックを紹介されました。医師にこれまでの経緯を話すと「双極II型障害」と診断されました。

 

症 状

双極U型障害は、軽躁病と抑うつを繰り返す障害です。軽躁病が少なくとも4日間持続し、抑うつも少なくとも2週間持続し、それぞれの期間内はほぼ毎日、終日、症状が現れている場合に、双極U型障害と診断されます。慢性化しやすく、軽躁病よりうつ病の期間が長く、重症になる傾向があります。

この障害は衝動性が高いことが特徴です。患者さん自身、軽躁病の状態の時は「自分は何ら問題ない」と思いがちですが、周囲からするととっぴな振る舞いが迷惑に感じる場合もあります。やたらとおしゃべりで、その場にそぐわない時にもせき立てるように話し続けたり、物事に集中できず、ちょっとしたきっかけで仕事を中断してしまったりもするからです。ささいなことで怒りやすくなるなど、本人も予測できない気分変化が生じます。健常者と比べて認知機能検査の成績が悪く、仕事や社会生活に支障を来す人もいます。 自殺企図や物質使用障害を引き起こす危険性も高く、双極II型障害の人の約1/3には何らかの自殺企図歴が認められるとの報告があります。

なお、軽躁病エピソードに抑うつ症状が併発したり、逆に抑うつエピソードに軽躁症状が併発したりする「混合性」もよくみられます。また、双極U型障害をもつ人の約5〜15%が、過去12ヵ月以内に4回以上の気分エピソード(軽躁病または抑うつ)を経験する「急速交替型」です。急速交替型は、女性に多い傾向があります。出産後に軽躁病になったことを引き金に、双極II型障害につながる人もいます。

双極II型障害の人の約60%に3つ以上の精神疾患が併存します。そのうち、75%が不安症、37%が物質使用障害です。

 

有病率

双極II型障害の12ヵ月の有病率は、国際的に0.3%とされています。青年期後期と成人期全般において発病しますが、発症時の平均年齢は20代半ばです。双極T型障害より少し遅く、うつ病よりも少し早い年代です。ほとんどの場合、抑うつから始まり、このタイミングで医療機関を受診します。軽躁病が生じるまでは双極U型障害であることに気付きません。当初、うつ病と診断された成人の約12%が、その後、双極U型障害になるとの報告もあります。

 

予 後

多くの場合、気分エピソードと気分エピソードとの間は完全に回復します。しかし、少なくとも15%はエピソードの間にも機能障害があり、20%は回復しないまま別の気分エピソードに移行します。職業上の機能回復まで時間がかかるため、経済状況が悪くなって困る人も少なくありません。抑うつエピソードの多い人や、高齢の人、パニック症やアルコール使用障害の既往のある人は、失業期間が長引きやすいとも言われています。また、成人で発症した患者さんに比べると、小児期や青年期で発症した患者さんは生涯にわたって困難な経過をたどるとも考えられています。

 

診断基準:ICD-10

記載なし

 

診断基準:DSM-5

双極II型障害の診断のためには、現在または過去の軽躁病エピソードの以下の基準を満たし、および、現在または過去の抑うつエピソードの以下の基準を満たすことが必要である。

●軽躁病エピソード

A.気分が異常かつ持続的に高揚し、開放的または易怒的となる。加えて、異常にかつ持続的に亢進した活動または活力のある、普段とは異なる期間が、少なくとも4日間、ほぼ毎日、1日の大半において持続する。

B.気分が障害され、かつ活力および活動が亢進した期間中、以下の症状のうち3つ(またはそれ以上)(気分が易怒性のみの場合は4つ)が持続しており、普段の行動とは明らかに異なった変化を示しており、それらは有意の差をもつほどに示されている。

  1. 自尊心の肥大、または誇大。
  2. 睡眠欲求の減少(例:3時間眠っただけで十分な休息がとれたと感じる)。
  3. 普段より多弁であるか、しゃべり続けようとする切迫感。
  4. 観念奔逸、またはいくつもの考えがせめぎ合っているといった主観的な体験。
  5. 注意散漫(すなわち、注意があまりにも容易に、重要でないまたは関係のない外的刺激によって他に転じる)が報告される。または観察される。
  6. 目標指向性の活動(社会的、職場または学校内、性的のいずれか)の増加。または精神運動焦燥。
  7. 困った結果になる可能性が高い活動に熱中すること(例:制御のきかない買いあさり、性的無分別、またはばかげた事業への投資などに専念すること)。

C. エピソード中は、症状のない時のその人固有のものではないような、疑う余地のない機能的変化と関連する。

D. 気分の障害や機能の変化は、他者から観察可能である。

E.本エピソード、社会的または職業的機能に著しい障害を引き起こしたり、または入院を必要としたりするほど重篤ではない、もし精神病性の特徴を伴えば、定義上、そのエピソードは躁病エピソードとなる。

F.本エピソードは、物質(例:薬物乱用、医薬品、あるいは他の治療)の生理学的作用によるものではない。 注:抗うつ治療(例:医薬品、電気けいれん療法)の間に生じた完全な軽躁病エピソードが、それらの治療により生じる生理学的作用を超えて十分な症候群に達して、それが続く場合は、軽躁病エピソードと診断するのがふさわしいとする証拠が存在する。しかしながら、1つまたは2つの症状(特に、抗うつ薬使用後の、易怒性、いらいら、または焦燥)だけでは軽躁病エピソードとするには不十分であり、双極性の素因を示唆するには不十分であるという点に注意を払う必要がある。

● 抑うつエピソード

A.以下の症状のうち5つ(またはそれ以上)が同じ2週間の間に存在し、病前の機能からの変化を起こしている。これらの症状のうち少なくとも1つは、(1)抑うつ気分、または(2)興味または喜びの喪失である。 注:明らかに他の医学的疾患に起因する症状は含まない。

  1. その人自身の言葉(例:悲しみ、空虚感、または絶望感を感じる)か、他者の観察(例:涙を流しているようにみる)によって示される、ほとんど1日中、ほとんど毎日の抑うつ気分。 (注:子どもや青年では易怒的な気分もありうる)
  2. ほとんど1日中、ほとんど毎日の、すべて、またはほとんどすべての活動における興味または喜びの著しい減退(その人の説明、または他者の観察によって示される)。
  3. 食事療法をしていないのに、有意の体重減少、または体重増加(例:1ヵ月で体重の5%以上の変化)、またはほとんど毎日の食欲の減退または増加(注:子どもの場合、期待される体重増加がみられないことも考慮せよ)。
  4. ほとんど毎日の不眠または過眠。
  5. ほとんど毎日の精神運動焦燥または制止(他者によって観察可能で、ただ単に落ち着きがないとか、のろくなったという主観的でないもの)。
  6. ほとんど毎日の疲労感、または気力の減退。
  7. ほとんど毎日の無価値感、または過剰であるか不適切な罪責感(妄想的であることもある、単に自分をとがめること、または病気になったことに対する罪悪感ではない)。
  8. 思考力や集中力の減退、または決断困難がほとんど毎日認められる(その人自身の言葉による、または他者によって観察される)。
  9. 死についての反復思考(死の恐怖だけではない)。特別な計画はないが反復的な自殺念慮、または自殺企図、または自殺するためのはっきりとした計画。

B. その症状は、臨床的に意味のある苦痛、または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。

C. そのエピソードは物質の生理学的作用、または他の医学的疾患によるものではない。

注:診断基準A〜Cにより抑うつエピソードが構成される。

注:重大な喪失(例:親しい者との死別、経済的破綻、災害による損失、重篤な医学的疾患・障害)への反応は、基準Aに記載したような強い悲しみ、喪失の反芻、不眠、食欲不振、体重減少を含むことがあり、抑うつエピソードに類似している場合がある。これらの症状は、喪失に際し生じることは理解可能で、適切なものであるかもしれないが、重大な喪失に対する正常の反応に加えて、抑うつエピソードの存在も入念に検討すべきである。その決定には、喪失についてどのように苦慮を表現するかという点に関して、各個人の生活史や文化的規範に基づいて、臨床的な判断を実行することが不可欠である。

● 双極II型障害

A.少なくとも1つ以上の軽躁病エピソードが、診断基準(「躁病エピソード」の項、基準A〜F)に該当し、加えて、少なくとも1つ以上の抑うつエピソードが診断基準(「抑うつエピソード」の項、基準A〜C)に該当したことがある。

B.過去、躁病エピソードがない。

C.躁病エピソードと抑うつエピソードの発症が、統合失調感情障害、統合失調症、統合失調症様障害、妄想性障害、または、他の特定されるまたは特定不能の統合失調症スペクトラム障害および他の精神病性障害ではうまく説明されない。

D.抑うつの症状、または、抑うつと軽躁を頻繁に交替することで生じる予測不能性が、臨床的に意味がある苦痛、または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。

※参考文献

『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』(医学書院)

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