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気分変調症/持続性抑うつ障害

F34.1 気分変調症  Dysthymia

持続性抑うつ障害(気分変調症) Persistent Depressive Disorder

 

疾患の具体例

15歳女性。12歳の頃に両親が離婚して母親に引き取られました。以来、常に憂うつで、何も楽しくない気分が続いています。夜は眠れず、食欲もなく、学校の勉強にも身が入りません。「自分は不幸だ」「心が折れた」などと訴えますが、母親が心配して声をかけると「うるさい!」などと怒り出します。なんとか学校には行くことができ、時々、元気を取り戻すこともありますが、1ヵ月もするとまた抑うつ気分に陥ります。しかし、自殺を企てたり、完全に寝込んだりするわけではありません。心配した母親に連れられて精神科クリニックを受診すると「気分変調症」と診断されました。

 

特 徴

WHOの診断ガイドライン「ICD-10」によると、「気分変調症」は反復性うつ病性障害の診断基準を満たさない程度の慢性的抑うつ気分です。アメリカ精神医学会の診断と統計マニュアル「DSM-5」では「持続性抑うつ障害」(気分変調症)の名称で解説しています。持続性抑うつ障害(気分変調症)は、それまで別々の疾病とされていた「大うつ病性障害」と「気分変調性障害」を統合したものです。

気分変調症の基本的特徴は、ほとんど1日中、疲れと抑うつを感じる状態が、少なくとも2年間、子どもや青年では1年以上の長期にわたって続いていることです。食欲の減退または増加、不眠または過眠など、DSM-5の診断基準Bの6つの症状のうち、少なくとも2つが存在します。何事にも努力を要し、不平を述べ、なかなか眠ることができず不全感を持ちますが、日常生活で必要なことは何とかやっていけます。若いうちに発症したケースでは、これらの症状が日常の一部になっているため、自分で異常に気づかないこともあります。

 

有病率

アメリカにおける調査によると、持続性抑うつ障害(気分変調症)の12ヵ月有病率は約0.5%%です。

 

経過

よくあるケースでは、小児期、青年期、あるいは成人期早期と早い段階に発症し、自分では気づかないうちに症状が進行し、慢性化していきます。

子どもは、寛解、再燃を伴い、時に大うつ病性障害を合併することもあります。患者さんの15〜20%は、思春期のあとに軽躁病相、躁病相、または混合性病相に発展する可能性があります。成人の患者さんは、大うつ病性障害を合併してもしなくても、慢性の単極性(うつ病)の経過をとる傾向があります。その人達が自然に軽躁病や躁病になることはまれです。一部の患者さんは、抗うつ薬による治療で短期間の軽度の躁転をすることがありますが、薬を減らすと消えることが多いとされています。

 

原因

気質要因:

より高い水準の神経症的特質(否定的感情)がある、症状がより重篤、全体的機能がより低い、不安症群や素行症が併存するケースでは、長期にわたって予後が不良になりやすいとされています。

環境要因:

子どもの場合は、親を失ったり離別したりすることが原因になることがあります。

遺伝要因と生理学的要因:

うつ病の人に比べると、第1度親族に持続性抑うつ障害(気分変調症)の人がいる可能性が高く、広い意味での抑うつ障害群もより多いと考えられています。 脳の複数の部位(前頭前野、前部帯状回、扁桃体、海馬)が関連している可能性があります。また、睡眠脳波記録の異常が存在するかもしれません。

 

治 療

かつては未治療のままの患者さんが多くいましたが、現在では認知療法、行動療法、薬物療法による治療が勧められています。これらの治療法の組み合わせが有効だとされています。

 

診断基準:ICD-10

軽症あるいは中等症の反復性うつ病性障害の診断を満たすほどに重症であることはまったくないか、あるいはごくまれであり、きわめて長期にわたる抑うつ気分が本質的な特徴である。通常は成人期早期に始まり、少なくとも数年間、時には終生続く。発症が晩年であれば、しばしばそれ以前のうつ病エピソードの結果であることがあり、死別または他の明らかなストレスに関連したものである。

 

診断基準:DSM-5

この障害はDSM-IVで定義された慢性の大うつ病性障害と気分変調性障害を統合したものである。

A. 抑うつ気分がほとんど1日中存在し、それのない日よりもある日のほうが多く、その人自身の言明または他者の観察によって示され、少なくとも2年続いている。

注:子どもや青年では、気分は易怒的であることもあり、また期間は少なくとも1年間はなければならない。

B. 抑うつの間、以下のうち2つ(またはそれ以上)が存在すること。

  1. 食欲の減退または増加
  2. 不眠または過眠
  3. 気力の減退または疲労感
  4. 自尊心の低下
  5. 集中力の低下または決断困難
  6. 絶望感

C. この症状の2年の期間中(子どもや青年では1年)、一度に2ヵ月を超える期間、基準AおよびBの症状がなかったことはない。

D. 2年の間、うつ病の基準を持続的に満たしているかもしれない。

E. 躁病エピソードまたは軽躁病エピソードが存在したことは一度もなく、また、気分循環症性障害の基準を満たしたこともない。

F. 障害は、持続性の統合失調感情障害、統合失調症、妄想性障害、他の特定される、または特定不能の統合失調症スペクトラム障害やその他の精神病性障害ではうまく説明されない。

G. 症状は、物質(例:乱用薬物、医薬品)、または他の医学的疾患(例:甲状腺機能低下症)の生理学的作用によるものではない。

H. 症状は、臨床的に意味のある苦痛、または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。

注:抑うつエピソードの基準には持続性抑うつ障害(気分変調症)の症状リストにはない4つの症状が含まれるため、ごく少数の人で、抑うつ症状が2年以上継続しながら持続性抑うつ障害の基準を満たさないこともありうる。現在の疾患エピソード中のある時点で、抑うつエピソードの基準を完全に満たせば、うつ病という診断名がつけられるべきである。そうでない場合には、他の特定される、または特定不能の抑うつ障害と診断される。

※参考文献

『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』(医学書院)

『ICD-10 精神および行動の障害 臨床記述と診断ガイドライン(新訂版)』(医学書院)

『カプラン 臨床精神医学テキスト』(メディカルサイエンスインターナショナル)

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