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統合失調型障害

F21 統合失調型障害 Schizotypal disorder

統合失調型パーソナリティ障害

 

疾患の具体例

23歳、男性。ある晩、学生時代の友人と食事に出掛けました。もともと人付き合いが面倒で、友人は少ないほうでした。その日会った友人は1年ぶりの再会でしたが、食事の途中から落ち着かず、時間がたつほどにくつろげなくなっていきました。相手に対し「実は陰で自分を馬鹿にしているのではないか」と疑う気持ちがわき起こり、まったくその場を楽しめません。他の人と接していても同様の気持ちになります。

特 徴

名称に「統合失調」とありますが、統合失調症とは別の障害です。統合失調症に似た奇異な行動と、思考、感情の障害が特徴で、統合失調症特有の異常はありません。これといって典型的な症状はないものの、その場にそぐわない振る舞いをします。WHOによる疾病分類「ICD-10」によると、以下のようなものです。

  1. 不適切な、あるいはぎこちない感情(患者は冷たくよそよそしく見る)。
  2. 異様な、奇異な、あるいは風変わりな行動や容姿。
  3. 他者との疎通性の乏しさ、および引きこもって人付き合いしない傾向。
  4. 本人の所属する文化的規範にも矛盾し、行為に影響を与えるような奇妙な信念や神秘的考え。
  5. 猜疑的、妄想的観念。
  6. しばしば醜形恐怖的、性的、あるいは攻撃的内容を伴う、内的抵抗のない強迫的反復思考。
  7. 身体感覚的(身体的)錯覚などの諸錯覚、離人感あるいは現実感喪失を含む異常知覚体験。
  8. 奇妙な会話やその他の仕方で表現され、著しい滅裂はないが、あいまいでまわりくどく比喩的で凝りすぎた常同的な思考。
  9. 強度の錯覚、幻聴等の幻覚、および妄想様観念を伴う精神病様エピソードが時折、一過性に通常外的誘発なくして生じる。

アメリカ精神医学会による診断・統計マニュアル「DSM-5」では、統合失調型障害を「統合失調パーソナリティ障害」と定義しています。その基本的特徴は、親密な関係の人と急に気楽でいられなくなることです。親密な関係を形成する能力が足りないことに加え、認知や知覚の歪みと、さまざまな風変わりな行動があります。 その一つが、関係念慮です。関係念慮とは、なんでもない偶然の出来事について間違った解釈をし、人に対して普通でない意味づけをすることです。

また、この障害のある人はえてして迷信深く、魔術的思考、テレパシーや第六感を信じることがあります。自分は出来事が起こる前に察知したり、他人の考えを読み取ったりできる特殊能力があると信じているかもしれません。魔術的な儀式を行って、知覚変容が起こることもあります。 周囲から見ても、その異質さは分かります。この障害のある人達は、その場にそぐわないだらしない服装や、汚れがついたりサイズが合わなかったりする服を着ることがあります。話し方は独特で、間延びしたり、脱線しがち、あるいはあいまいだったりします。奇妙な言い回しや構文をすることもあります。しかし、実際に脱線することはなく、滅裂でもありません。

また、他人に対して疑い深く、妄想様観念を持っていることも特徴の一つです。例えば、自分の仕事の同僚が上司と一緒になって自分の評判を傷つけようとしていると信じることなどです。

基本的に対人関係を煩わしいものとして体験しており、他人と関係を持つことを不快だと感じています。「友人がいなくて不幸だ」ということもありますが、自分から親しい接触をあまり望んでいないように見ます。結果として、親族以外に親しい友人がまったくいないか、いてもわずかです。やむを得ない場合は他人と関わりますが、自分は変わっていて、他の人とは調子が合わないと感じているため、一人きりになることを好みます。

 

経 過

成人期早期に始まり、重症度が浮き沈みしながら慢性の経過をとります。最初は、孤立や仲間関係の乏しさ、社交不安、学業成績不振、過敏さ、変わった思考や言葉、および奇異な空想などの症状が現れます。子ども時代に発症した場合は、”風変わりな子“としていじめの対象になるかもしれません。 とはいえ、比較的安定した経過をたどり、統合失調症や他の精神病性障害に発展する人はわずかです。大きなストレスがあると、精神病症状を現す場合もありますが、通常は短期間です。ただし、重症例では快楽消失と重篤な抑うつ状態になります。

 

有病率

地域研究によると、統合失調型パーソナリティ障害の有病率はノルウェーの0.6%からアメリカの4.6%の範囲にわたると報告されています。男女差は、わずかに男性のほうに多く見られると考えられています。

 

原 因

この障害は、同じ家族内で生じることが多いと考えられています。発端者となった人の親族には、統合失調症や他の精神病性障害も少し多いようです。

 

治 療

精神療法

この障害のある患者さんは、風変わりな思考様式を持ち、カルトや奇妙な宗教的実践、オカルトに熱中している人がいますが、治療者はそのような活動を嘲笑したり、裁断的であったりしてはなりません。

薬物療法

抗精神病薬は、この障害の関係念慮、錯覚、その他の症状に有効です。抑うつ的要素があるときには、抗うつ薬を用います。

 

診断基準:ICD-10

この診断は単純型統合失調症、統合失調質性あるいは妄想性のパーソナリティ障害から、明確には区別しがたいので、一般的な使用は勧められない。この用語を用いる場合には、上記の典型的な特徴の3、4項が少なくとも2年間は持続的あるいはエピソード的に存在していなければならない。患者は統合失調症の診断基準を満たしてはならない。第1度親族に統合失調症の病歴があることは、この診断にとって補助的な重要性を持つが、必須条件ではない。

 

診断基準:DSM-5

A. 親密な関係では急に気楽でいられなくなること。そうした関係を形成する能力が足りないこと。および認知的または知覚的歪曲と行動の奇妙さのあることの目立った、社会的および対人関係的な欠陥の広範な様式で、成人期早期までに始まり、種々の状況で明らかになる。以下のうち5つ(またはそれ以上)によって示される。

  1. 関係念慮(関係妄想は含まない)
  2. 行動に影響し、下位文化的規範に合わない奇異な信念、または魔術的思考(例:迷信深いこと、千里眼、テレパシー、または“第六感”を信じること:小児および青年では、奇異な空想または思い込み)。
  3. 普通でない知覚体験、身体的錯覚も含む。
  4. 奇異な考え方と話し方(例:あいまい、まわりくどい、抽象的、細部にこだわりすぎ、紋切り型)。
  5. 疑い深さ、または妄想様観念。
  6. 不適切な、または限定された感情。
  7. 奇異な、奇妙な、または特異な行動または外見。
  8. 第1度親族以外には、親しい友人または信頼できる人がいない。
  9. 過剰な社会不安があり、それは慣れによって軽減せず、また自己卑下的な判断よりも妄想的恐怖を伴う傾向がある。

B. 統合失調症、「気分障害、精神病性の特徴を伴うもの」、他の精神病性障害、または広汎性発達障害の経過中にのみ起こるものではない。 注:統合失調症の発症前に基準が満たされている場合には、「病前」と付け加える。すなわち、「統合失調型パーソナリティ障害(病前)」

※参考文献

『DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル』(医学書院)

『ICD-10精神および行動の障害臨床記述と診断ガイドライン(新訂版)』(医学書院)

『カプラン臨床精神医学テキスト』(メディカルサイエンスインターナショナル)

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