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脳震盪後症候群

F07-2 脳震盪後症候群 Postconcussional syndrome

 

疾患の具体例

17歳男性。学校で柔道の練習をしていたところ、頭を強く打ち、脳震盪を起こしました。

病院に搬送され、数時間にわたって意識のない状態でした。その後、意識は取り戻しましたが、頭痛やめまい、疲労感が続きます。集中力も低下し、イライラが募ります。「このまま症状が収まらなかったらどうしよう……」という不安感もあり、抑うつ的な状態になりました。診察をした医師は、「脳震盪後症候群」と説明しました。

 

症 状

意識の消失を生ずるほど重い頭部外傷に引き続いて、さまざまな精神および身体的な症状が現れます。例えば、頭痛、めまい、疲労感、音や光への過敏性、集中と課題遂行の困難、記憶障害、不眠、ストレスや情緒的興奮、あるいはアルコールに対する耐性の低下などです。

これらの症状によって自尊心が喪失することがあります。また、症状が永遠に続くのでは、といった恐怖心から、抑うつと不安感が生じることもあります。そうした感情がますます症状を悪化させ、悪循環になる人もいます。患者さんによっては「自分は大変な病気だ」と思い込み、たびたび診断と治療を求めるようになります。

また、脳震盪を含む頭部外傷全般でいえば、症状を2つに大別することができます。一つは「認知障害」です。主に、情報処理速度の低下、注意力の欠損、ものごとを記憶したり、新しい情報を学習したりすることに関する問題、加えて言語能力の低下などが見られます。 もう一つは、「行動に関する続発症」です。抑うつ、衝動性や攻撃性の亢進、人格変化などがあげられます。これらの症状は、お酒を飲むことによって悪化する場合があります。

 

特 徴

脳震盪を含む頭部外傷は15〜25歳の若者に最も多く発生し、男女比はほぼ3:1です。頭部外傷を負った患者さんのうち、神経精神医学的な症状が続く割合は、重症度によって異なります。重度の患者はほとんどすべて、中程度は半数以上、軽度は10%あまりに症状が生じるといわれています。

なお、頭部外傷は拳銃などによって頭蓋骨が貫通する「貫通性頭部外傷」と、頭蓋骨の物理的貫通がない「鈍性外傷」とに大別されています。患者数は鈍性外傷のほうがはるかに多く、そのうちの半数以上は交通事故によるもの。その他は転落、暴力、スポーツ関連です。頭を強く打った脳震盪も、鈍性外傷にあたります。

 

原 因

頭を強く打つなどの外傷を受けたとき、通常は頭部が前後に激しく動き、脳は頭蓋骨に何度も衝突します。これが脳挫傷を引き起こす場合があります。あるいは、脳が伸びたり広がったりして、意識を消失したり、重症例では呼吸が損なわれたりして急死する例も存在します。あとから遅れて生じる出血やむくみなどによって、脳にさらなる損傷を引き起こすこともあります。

 

治 療

頭痛やめまい、記憶力低下、不眠といったそれぞれの症状に応じた、標準的な治療を行います。ただ、頭部外傷の患者さんは、向精神薬の副作用が現れやすい傾向があるといわれます。そのため、薬物治療は通常より低い用量から開始して、ゆっくり増量しなくてはなりません。また、抑うつの治療には、標準的な抗うつ薬を用いることができ、攻撃性や衝動性の治療には抗けいれん薬か、抗精神病薬を用いることができます。その他の治療法としては、リチウム、カルシウムチャンネル遮断薬、βアドレナリン受容体拮抗薬などの使用があげられます。

 

経過・予後

軽度や中程度の患者さんは、治療を終えたら家族のもとにもどって学業や仕事を再開します。治療を経ても少なからず症状が残る場合は、家族や関係者すべてが、患者さんの変化に適応するための手助けを必要とします。そのため、医師は夫婦療法や家族療法などの精神療法を通して、主たる介護者を援助しなければなりません。

 

診断基準:ICD-10

上記の特徴(頭痛、めまい、疲労感、音や光への過敏性、集中と課題遂行の困難、記憶障害、不眠、ストレスや情緒的興奮、あるいはアルコールに対する耐性の低下など)のうち、少なくとも3つが存在しなければならない。検査手技(脳波、脳幹誘発電位、脳画像診断、眼振図)を用いた入念な評価が、症状を実証する客観的な証拠を与えることになるが、しばしばこれらの検査の結果は陰性に終わる。訴えは補償を求める動機として必ずしも関係していない。

 

診断基準:DSM-5

記載なし

 

※参考文献

ICD-10 精神および行動の障害 臨床記述と診断ガイドライン(新訂版)』(医学書院)

『カプラン 臨床精神医学テキスト』(メディカルサイエンスインターナショナル)

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